興亜建国運動とその主張 : 日中戦争期中国における和平論
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概要
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興亜建国運動は,汪精衛の和平運動支援のため,1939年に上海で組織され,主張は機関誌『興建』で発表された。その議論の特徴は,日本との和平を前提としつつも,「近衛声明までの抗日は正当」「日本の誠実な対応がなければ,再び抗日に赴く」等,最大限抗日の立場を盛り込んだ点にあった。また中国共産党に対しても一定の理解が示された。こうした傾向は,従来の親日団体には見られないものであった。これは日本占領地であっても,中国ナショナリズムとかけ離れた議論が,もはや受け入れられないことが認識されつつあったことを示している。同時に,日本にとっては,それまでの「暴支膺懲」に象徴される対中国の立場を自ら否定するものでもあった。
- 2012-07-25
著者
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