ベンチャー企業とバルーン型組織 : 実態調査からみる組織戦略(デジタル時代の起業戦略,統一論題セッション1,ビジネス・モデルのパラダイム・シフト)
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概要
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これからの組織モデルの一つとして筆者はバルーン型組織を提唱したい。それは1960年代の行動科学的組織論者が言及した理論の応用であり、実践である。それは参加型マネジメントや自立型組織の構築であった。フラットな組織、有機型組織、権限委譲、中央集権型から分権型組織への移行、マネジメントプロセスの組織メンバーへの組み込み(ジョブエンリッチメント)、自立型小集団、連結ピン機能、重複集団型組織等の概念は今日においても色あせていない。むしろ、益々重要なコンセプトとして捉えてよいと考えている。リーダーシップ論やモチベーション論は正にその理論的内容を骨格にしている。バルーン型組織の中核にある精神はベンチャースピリットである。それはベンチャー企業の概念にある「創造的で進取な心をもち、リスクに果敢に挑戦する意欲と責任感・倫理感を持つ心の様相」である。すべての組織メンバーがベンチャースピリットを保持しながら組織に貢献しつつ、自らの成長を実感できることが今日の時代的要請と把握するならばその可能にする組織モデルはいかなるのものか。筆者はバルーン型組織ではないかと考える。それはベンチャー企業のみならず多くの大企業や組織体が成長を志向するときに組織メンバーの一員としてベンチャースピリットを発揮できるような組織的仕組みが要求されている。開業率の低さは日本人の行動パターンにあるとするならば組織の在り方を根本的に革新することにより組織メンバーの多くがベンチャースピリットを発揮できるのである。
- 2012-06-21