EUのフレクシキュリティ政策 : 社会的コンセンサスを求めて(<特集>ヨーロッパにおけるフレクシキュリティ)
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概要
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フレクシキュリティ政策は,労働市場のさらなる規制緩和のための,新たな政策体系なのだろうか。それとも,使用者にとっても,労働者にとっても望ましい,効率性と公正性の新たなバランスを労働市場にもたらしうるのか。この論考では,EUのフレクシキュリティ政策形成の現代史を,EU機関と欧州レベルの社会的パートナー(労使団体)の主張の差異と収斂,相互作用に着目しつつ検討する。その際理事会の「フレクシキュリティの共通原則」(2007年12月)採択に至る過程において,(1)争点となった外的フレキシビリティの促進規定,および,(2)政策全体におけるその位置づけを考察の中心に据えた。EU政策におけるフレキシビリティ要素,特に雇用保護法の規制緩和を市場柔軟化の中核に据えた初期提案の質的変化が,加盟国"針路(pathways)"の多様化などと並び,ステークホルダーのコンセンサス形成を可能にした点が指摘されている。
- 2011-10-20