デンマークの労使関係と労働市場 : フレクシキュリティ考察の前提(<特集>ヨーロッパにおけるフレクシキュリティ)
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概要
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デンマークのフレクシキュリティの前提として労使関係と労働市場の特徴を描いた。労使関係は1899年の「9月妥協」により経営権の承認と組合の団結権・団体交渉権の承認が確認され,現在の労使関係の枠組みが形成された。労働組合は教育訓練別・学歴別の組織を基盤とし,企業横断的に熟練組合,一般組合,産業別組合,専門職組合が分立している。ナショナルセンターは4つに分立している。賃金,労働時間のみならず解雇規制に関しても団体交渉で決定する。団交合意では最低賃金,最適賃金のみ合意し,事業所毎に賃金交渉が行われる事例が増大している。解雇は手続きと基準が合意されている場合があり経営側による恣意的な解雇は難しい。だが,合理的理由があれば解雇は比較的容易である。労働力の流動性は高く,再就職した者のうちおよそ6割が前職種と異なる職種に移動している。これらの事実からみて教育訓練の機会が多く,労働組合もこれに深く関与していることがうかがえる。最後に,モビケーションという新しい概念誕生の経緯について紹介した。
- 2011-10-20
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