病原菌を病気にする果樹類紋羽病の生物防除(競争的大型資金プロジェクトによる土壌微生物研究最近の成果,シンポジウム)
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概要
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果樹類の重要な土壌伝染性病害である紋羽病に対し,病原力低下因子(dsRNA:二本鎖RNA,菌類ウイルスのゲノム)を利用して罹病樹を治療する,生物防除法の開発を目指した。収集した紫紋羽病菌約1500菌株,白紋羽病菌約900菌株において,各々約65%,約20%の菌株でdsRNAが検出された。モノカリオン(一核菌糸体)をベクターとして利用した系,およびプロトプラストを利用した系を用いてdsRNA導入株を作出し,弱病原力菌株保有のdsRNAの病原力低下作用を検証したところ,紫紋羽病菌で2種,白紋羽病菌で1種のdsRNAが病原力低下因子であることが明らかとなった。また,dsRNAフリー株を作出することによっても両紋羽病菌で病原力低下作用を有するdsRNAを特定できた。以上の3つの病原力低下因子と判定されたdsRNAの塩基配列および関連ウイルス粒子の性状等を解析し,新規ウイルス3種を同定した。さらに,どのような野生株にも適合する接種源(ユニバーサルイノキュラム)の開発を行うため,基礎知見として両紋羽病菌の核型および生活環を明らかにした。紋羽病菌に関するその他の分類学的・生態学的知見も多数集積した。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 2004-10-01
著者
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