韓国と日本における特殊な環境の土壌に生息する放線菌の分布の比較(アジア地域との微生物研究のネットワーク-アジア微生物の多様性解明と有用機能の開発-,シンポジウム)
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概要
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本研究は局所的に特殊な環境の土壌に生息する放線菌の分布を調べるために,洞窟土壌,樹木根圏土壌から放線菌を分離し,菌種の分析を試みた。各地の洞窟土壌から分離した放線菌の57.9%の菌株の細胞壁成分のジアミノピメリン酸(DAP)がメソ型であり,希少放線菌の生息する割合が高いことが分かった。また,膜成分としてメナキノン類が検出されない菌株が分離され,洞窟環境の特殊性を示した。8種の樹木の根表層組織に吸着する土壌粒子から分離した放線菌の39%がメソ型DAPを含む希少放線菌であることが分かった。ハナモモの土壌から同時に分離される多数の同一菌種と思われる糸状菌から同一の黄色代謝物を分離し,抗菌物質であるシトリニンと同定した。シトリニンはStreptomyces属の放線菌の生育を阻害したが,ハナモモから分離した放線菌はこの物質に対して耐性を示し,ハナモモの根圏では特定の糸状菌による微生物圏の形成が示唆された。洞窟土壌,樹木根圏土壌からの希少放線菌の出現頻度が高く,多様な放線菌を得るのに適している。いずれの場合も,韓国と日本において分離される希少放線菌の分布に関して類似した結果を示し,地域差の影響はみられなかった。
- 2001-10-01
著者
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