土壌中での農薬分解遺伝子の水平伝達(微生物の環境導入とその技術的諸問題)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
有機リン系殺虫剤フェニトロチオン分解菌とカーバメイト系殺虫剤カルバリル分解菌を農地土壌より分離した。これを用いて土壌生態系における分解能獲得過程を明らかにすることを目的として研究を行った。土壌からフェニトロチオンを炭素源として生育するPseudomonas属の細菌(MF300株)を分離した。MF300株は大きさの異なる2つのプラスミド(pFD100, pMH100)を有しており,pFD100はフェニトロチオン加水分解酵素を,pMH100はメチルヒドロキノン分解酵素をコードすることが示された。また3-メチル-4-ニトロフェノールからのニトロ基の脱離は染色体に依存していた。カルバリルを唯一の炭素源として利用するArthrobacter sp. RC100のカルバリル分解能はプラスミドにコードされており,カルバリル加水分解酵素と1-ナフトールからゲンチジン酸までの分解酵素系は別々のプラスミドにコードされていることが示された。これらのプラスミドには接合により伝達されるものがあることから,土壌中において細菌間でプラスミドの水平伝達が起こり,分解菌が出現した可能性が示唆された。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1995-10-01