VAおよびラン菌根菌の植物生育促進効果(共生土壌菌類と植物の生育)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ランの菌根とVA菌根菌について,菌根菌の植物生育促進効果および宿主-菌類の共生のバランスに影響を及ぼす要因について検討した。ラン科植物は,種子発芽時には菌根菌に対して絶対的依存であり,一方,VA菌根では菌根菌が宿主に対して絶対的依存の関係である。プロパギュール且つ土壌中からの養分吸収器官として,external hyphaが非常に重要である。菌根菌と宿主のバランスに影響を与え得る要因は数多いが,VA菌根の場合,特にP施肥の増加および不充分な光量により,植物生育に対する菌根菌の効果は低下する。一方,ランの菌根においては低分子の糖,N施肥の増加(硝酸塩では影響はないとする報告もある)および光が菌根菌の効果を抑制する。VA菌根におけるNの効果は,実験条件が異なると様々であり,一般的な傾向は認められていない。現在までのところ,ランの菌根菌の宿主特異性はVA菌根菌のそれに比べ高いとされている。しかし宿主と菌根菌の特異的関係は,環境条件により変化する。VA菌根菌においては,一般に宿主特異性が低いとされるが,まだ充分に調査されたとは言い難い。また菌根菌の農業,林業上での利用に際しては,菌株レベルでスクリーニングがなされるべきである。
- 1994-10-01
著者
関連論文
- サギソウの初期生育に及ぼすラン菌根菌の影響
- VAおよびラン菌根菌の植物生育促進効果(共生土壌菌類と植物の生育)
- ラン菌根菌によるサギソウの実生育成 : (第1報)サギソウの初期生育に及ぼすラン菌根菌の影響