植物病原糸状菌のプラスミドと病原性(土壌微生物とバイオテクノロジー)
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概要
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作物病害の生物的防除の革新的技術開発の手段として組換えDNA技術の活用が期待されている。しかし,今日まで原核生物を除いて真核生物のプラスミドについての報告は3例だけである。本研究ではRhizoctonia solaniの生育異常株(3株)を用いてプラスミド,pRS64を抽出することに成功した。本菌のプラスミドは線状で,分子量1.68±0.06×10^6ダルトンであった。DNAプラスミドを持つR. solaniは生育速度がきわめて遅く,立枯病に対する病原性も正常株と比べ著しく低い。一方,プラスミド様DNAを持っていない正常株は病原性が高く,生育速度も正常であった。プラスミド,pRS64は病原性制御の機構になんらかの形で関与している可能性が示唆され,病原性の制御に関する技術開発に一つの手がかりをあたえるものと思われる。R. solaniのプラスミドのほか,現在までに報告された糸状菌のプラスミドとその性質についても概括した。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1985-11-30
著者
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