廐肥多施用土壌における作物生産と土壌微生物 : その一事例(シンポジウム:有機物と土壌微生物-農業生産並びに環境浄化の視点から-)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
瘠薄な赤黄色土C層を床土として用いて,トマトの施設栽培を実施し,多量の廐肥連用がトマトの生育収量と土壌微生物に及ぼす影響を慣行施用量との比較で調査した。また,数種の作物をトマト3作連作後の跡地に2作栽培した時の作物収量と微生物相の変動についても検討をおこなった。(1)廐肥多量施用区(50t/10a)と慣行施用区(5t/10a)のトマト収量は,第3作までは大差なかったが,第4作では塩類の過剰集積により50t区の収量が少なくなった。廐肥の連用を停止した第5作以降においては,50t区が5t区より,また土壌消毒区が無消毒区より多い傾向があった。(2)トマト第1作から第3作にかけて経時的に計数した生菌数は変動が大きく,廐肥施用量の差による相違は明らかでなかった。しかし,廐肥多量施用区のB/F値が高く,アンモニア酸化菌数が多い傾向が認められた。(3)廐肥多量施用区のアンモニア酸化菌数と土壌中の硝酸態窒素量の経時変化が類似していた。(4)跡地土壌の風乾細土について求めた窒素無機化量からみると,慣行施用区では廐肥を3作連用しても窒素肥沃度の増大はほとんどみられなかったが,多量施用区では大幅な増加があり,廐肥無施用でさらに2作栽培した後にも依然として高い窒素肥沃度が残存した。(5)トマト第3作と第4作の間に無肥料,廐肥無施用で2作栽培した数種の作物の第1作目の収量は,廐肥多量施用区がいずれも慣行施用区より多かった。しかし,第2作目は収量が激減し,廐肥施用量の差も小さくなった。(6)数種の作物跡地について測定した微生物では,糸状菌は慣行施用区が,細菌は多量施用区がそれぞれ多かった。B/F値は多量施用区が,またイネ科作物跡地がそれぞれ高かった。
- 1984-12-20
著者
関連論文
- サンセベリア乾燥処理による発根促進効果
- ある施設栽培土壌におけるミミズ類, センチュウおよび有機物含量の経時変化
- 20. 肥料による水質汚濁を防止するための肥料化学的研究(第1報)(中部支部第27回例会)
- 有機質資材の窒素形態変化能推定条件の検討
- 有機質資材の腐熟と窒素形態変化能との関係
- 2-23 堆厩肥窒素の無機化について(2.土壌有機および無機成分)
- ダイズ粕添加量と窒素無機化パターンの関係 : 有機物の腐朽に伴う無機態窒素の変動(第1報)
- 鉱質畑地における厩肥の施用効果--厩肥連用土壌の性質
- 鉱質畑地における厩肥の施用効果--厩肥連用土壌の性質および施用厩肥の分解量
- 湛水土壌のマンガン還元過程における2価鉄の役割 : 水田土壌中のマンガン還元機構(第8報)
- 施設栽培における厩肥連用が土壌溶液および溶脱水に及ぼす影響 : 厩肥の多量施用効果に関する土壌肥料学的研究(第2報)
- 施設栽培における厩肥連用が土壌の化学性に及ぼす影響 : 厩肥の多量施用効果に関する土壌肥料化学的研究(第1報)
- オガクズの農地への利用に関する研究 : 第 2 報オガクズ推肥の配合を異にした土壌の生育について
- マンガン還元過程における2価鉄の役割に関するモデル実験 : 水田土壌中のマンガン還元機構(第7報)
- 微生物代謝産物によるマンガン還元の反応条件 : 水田土壌中のマンガン還元機構(第6報)
- 土壌中のマンガン還元菌フロラとその培地中における還元機構 : 水田土壌中のマンガン還元機構(第3報)
- マンガン還元過程における微生物の役割(その2) : 水田土壌中のマンガン還元機構(第2報)
- マンガン還元過程における微生物の役割 : 水田土壌中のマンガン還元機構(第1報)
- 廐肥多施用土壌における作物生産と土壌微生物 : その一事例(シンポジウム:有機物と土壌微生物-農業生産並びに環境浄化の視点から-)