畑地における有機物施用効果の微生物学的解析上の問題点(シンポジウム:有機物と土壌微生物-農業生産並びに環境浄化の視点から-)
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概要
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畑作物への有機物施用効果を微生物学的に解析する際の問題点を指摘して論議した。(1)栽培期間の異なる普通畑作物と野菜では,根圏の微生物に量的質的違いがあるため,両者で問題を分ける必要がある。(2)有機物施用土壌では微生物の増殖と死が加速されているため,有機物中の窒素の肥効発現過程を微生物学的に解析するには,代謝回転速度の早い菌体窒素の評価が重要となろう。現在汎用されている微生物バイオマス量及びその代謝回転速度の測定方法を有機物施用直後の土壌に適用するには難点があり,新たな測定方法の開発が望まれる。(3)これまで根圏微生物の変動要因は,主に根の活動に伴って変化する要因に求められてきた。これに対して,有機物施用が根圏微生物に及ぼす影響を定量的に解析し,有機物施用がまず非根圏土壌の微生物量を増加させ,その増加量に比例して根圏へ定着する微生物量を増加させる等の結果をえた。こうした結果から,有機物施用を含む非根圏土壌に施した土壌管理が根圏微生物の変動に及ぼす影響の系統的研究の必要性を論議した。(4)有機物施用効果の一つとして微生物の生成する生理活性物質による作物生育の促進を研究するには,多様な作物で生育促進効果を一律に論ずるのではなく,作物の種類に応じて問題を整理する必要がある。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1984-12-20
著者
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