コンニャク乾腐病の伝染経路とスライス法による各種検定
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概要
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コンニャク乾腐病の伝染経路は種球伝染が主体であるが,土壌伝染もする。発病程度の高い種球を植付けると,種球は表皮を残して腐敗しつくすことが多い。光学顕微鏡および走査電子顕微鏡で,種球における本菌の越冬状態を観察した結果,腐敗褐変部の罹病組織,とくに,マンナン細胞中で菌糸または菌糸束で存在していることが判明した。これら罹病球茎を植付けると,罹病組織中の菌糸は土壌中の水分を得て動き出し,種球表皮上をすみやかに伸長して新球茎に到達し,寄生する。病徴には二つの症状がある。一つはサメハダ症状で本菌が形成初期の新球茎表面に寄生し,粗皮状となる場合である。もう一つは乾腐症状で乾燥および貯蔵の期間に,土壌微生物などによる新球の傷口から感染して腐敗褐変が進展した場合である。本菌を厚さ約5mmのコンニャクスライス上に接種し,28℃で3〜5日培養すると,その菌の周辺が腐敗褐変してくる。しかし,その他のFusarium sp.はスライスを腐敗褐変させない。このことから,このスライス法はF. solani f. sp. radicicolaの簡易同定法として極めて優れた方法である。また,このスライス法は腐敗褐変部の大きさにより,品種抵抗性の簡易検定法および種球消毒剤のスクリーニング法に応用できる。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1982-12-15