家族における相互作用と個人のシステム境界の形成 : 接触と分離のバランス
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概要
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社会的相互作用は社会と個人の基礎である.社会システムはパターン化した社会的相互作用からなり,個人は社会的相互作用なしにはこの世界で存続も発展も不可能だからである.しかしながら,社会的相互作用は,行為者が個別の存在であることと行為者間で相互に交渉が可能であることを前提としている.一方が他方に取り込まれているいわば共生関係では相互作用は不可能である.逆に両者が遠く隔たっていても相互作用は不可能だからである.接触と分離のバランスが機能的な相互作用には不可欠である.それはシステム理論の観点からすれば,機能的なシステム境界を持つことが,生きたシステムがこの世界で生き残り発展するために不可欠の要件であるということである.現代における家族の最も重要な機能は,日常的な相互作用過程の中で家族成員に柔軟で適切なシステム境界を形成することであり,それは家族にしかできない機能である.本論文は社会的相互作用に関する,とりわけその基礎としての個人的システム境界形成に関する理論的研究である.
- 仁愛大学の論文
- 2010-12-30