ドイツの医療保険制度改革における2つの方向性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ドイツにおいて労働者医療保険法が制定されたのは1883年である。これは医療保険制度の嚆矢であり、以来、世界で最も歴史の長い医療保険制度として、ドイツの医療保険制度は100有余年の伝統を有している。 しかし、今世紀に入ってからは、高い失業率を改善することがドイツ社会の優先課題となる中で、合計で40%を超える社会保険料率の上昇を食い止めることが必要とされ、医療保険制度についても、累次の抜本改革が行われてきた。 2003年に提示されたリュールップ委員会の報告書においては、将来の持続可能な医療保険の姿として、国民保険と人頭割保険料モデルという2つの方向性が示された。これに対し、ドイツの2大政党である社会民主党とキリスト教民主・社会同盟は、それぞれ社会民主党は国民保険を支持し、キリスト教民主・社会同盟は人頭割保険料モデルを支持し、立場は分かれた。以来、今日まで、ドイツの医療保険制度改革は2つの方向性の間を揺れ動いているようにみえる。 本稿では、累次の改革を踏まえたドイツの医療保険制度の概要を確認したうえで、最近のドイツの医療保険制度改革の動向を分析し、日本への示唆を考察することとする。
著者
関連論文
- 社会保障とソーシャルインクルージョン (特集 ソーシャル・イノベーション)
- 社会的孤立と健康 (特集 社会経済的要因と健康課題)
- ドイツの医療保険制度改革における2つの方向性
- ドイツの医療保険制度改革における2つの方向性
- 我が国における「孤立化」の社会的要因に関する定量的検討 (特集:イノベーションにむけて)
- 孤立社会からつながる社会へ:ソーシャルインクルージョンに基づく社会保障改革(書評りぷらい)