ある批評のトポスの形成 : 「縮小された修辞学」について
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概要
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現代における修辞学の復興が,文学研究においてはもちろん,言語学や哲学における修辞学の主題化,さらには記号論の構築という1960年代以降の画期的な人文科学の展開のなかで,ミカエル・リファテールのいわゆる《le formalisme francais》を代表するいわば「バルト学派」の文学理論家たちの旺盛な活動をつうじて,またそれを一つのインパクトとして果たされたことは周知のとおりである。それゆえ我々は,曲言法(litote)で言えば,これらの学者たちの貢献を評価することに悋ではない。近年みられる古代や古典時代の修辞学書の再版や修辞学の歴史を論じた研究の出現は,彼らの演じた役割が決定的であったことを明らかにしている。けれども30年の距離は,我々に,彼らの示した道を再びたどりつつその道自体を凝視し,そこで開かれた展望を見直すことを可能にしてもいる。そしてそれはすでに始まっている。我々の意図は「定説」となったかに見えるあるテーゼの形成のプロセスをたどることである。その後で,このいわば「常識」となった見解に対するいくつかの問題点を指摘しようと思う。
- 1998-11-20
著者
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