日系多国籍企業の国際振替価格管理に関する実態調査
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概要
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本稿の目的は,日系多国籍企業を対象とした郵送質問票調査のデータをもとに,国際振替価格管理の実態を包括的に解明することにある.多国籍企業が国際振替価格の管理を円滑に行うには,(1)振替価格設定基準の選択,(2)間接費回収ルートの選択,(3)独立企業間価格算定法の選択,(4)所得差額の調整方法の選択,という4つの意思決定を事前に行う必要がある.本稿の特徴は,先行研究が分析対象としていない(2)(3)(4)にも焦点をあてたことである.調査結果では,最も多く使用されている独立企業間価格算定法は,取引単位営業利益法であり,最も多い所得差額の調整方法は,実際の振替価格の調整であった.また,海外子会社の多くは何らかの無形資産を所有している.その場合,最適な独立企業間価格の算定法は残余利益分割法であるため,無形資産形成の貢献度測定方法の開発が日系企業にとっての今後の課題である.
- 日本管理会計学会の論文
- 2012-05-01