生物多様性地域戦略策定の現状と課題 : 地方自治体を対象とした意識調査の結果から
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概要
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2008年成立の生物多様性基本法によって、地方自治体による生物多様性地域戦略の策定が努力義務化された。この地域戦略は、生態系や社会経済的状況の地域固有性を踏まえた総合的な保全計画として、地域レベルの生物多様性保全を担保する戦略となることが期待されるが、現状では一部の自治体をのぞき策定が進んでいない。本稿は、地域戦略策定にかかる地方自治体の状況と自治体の生物多様性分野担当者の意識を質問紙調査によって明らかにすることで、策定を阻む原因と今後の推進方策を論じた。質問紙調査の結果、小規模な自治体ほど地域戦略の努力義務規定を認知しておらず、実際に策定も遅れている状況にあることが明らかになった。また、努力義務規定を認知しているにも関わらず、策定の意向がない自治体があることも判明した。これについては、自治体が地域の生態系や生物多様性の状況を把握できていないこと、策定にあたっての予算折衝や合意形成が困難であること、そして地域戦略の必要性やメリットが不明確であることなどが、策定を妨げる主な障害となっている可能性がある。従って、今後地域戦略の策定を推進するためには、地域戦略のメリットと必要性の明確な提示、特に小規模自治体に対する努力義務規定の周知と策定支援、自治体と大学や研究機関との連携体制の整備、NPOなどの市民団体による策定に向けた働きかけなどが重要である。
- 2012-05-30
著者
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西田 貴明
三菱ufjリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部
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阿部 剛志
三菱ufjリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部
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千葉 知世
京都大学大学院地球環境学堂・学舎
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清谷 康平
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部
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永井 克治
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部
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永井 克治
三菱ufjリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部
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清谷 康平
三菱ufjリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部