木曽谷国有林における施業計画の変遷とその実行 : 旧上松営林署を事例として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
国有林における経営方針は,1973年の「国有林における新たな森林施業」を契機として,木材生産重視から公益的機能重視の方向へ変化してきた。本研究はこのような国有林全体の経営方針の変化が,現場における森林施業にどのような影響を与えたのかを明らかにすることを目的とし,木曽谷の旧上松営林署を対象として1967年から1997年までの施業計画の分析及び,実行との対照を行った。資料の分析により旧上松営林署での施業計画の方針は,国有林全体の方針の変化に伴って変化したことが明らかになった。まず1960年代始めの過伐によって森林資源が減少するなどの問題が起こったことを受けて伐採量の削減が行われ,続いて「新たな森林施業」によって皆伐方法の見直しが行われ,さらに1993年からは機能類型別の森林施業が導入された。一方で,実行段階で計画が反映されないという問題が明らかになった。特に,保育について計画と実行の乖離が大きい。この計画と実行の不一致は地元木材業者への原料供給の必要性と国有林の収支悪化に伴う上松営林署での労働力減少などによるものである。
- 森林計画学会の論文
- 2001-03-30
著者
-
箕輪 光博
東京大学大学院農学生命科学研究科森林科学専攻
-
佐々木 聡子
東京大学大学院農学生命科学研究科森林科学専攻
-
佐々木 聡子
東京大学大学院 農学生命科学研究科森林科学専攻
-
箕輪 光博
東京大学大学院農学生命科学研究科
関連論文
- 機械化のマネジメント-地域の経営力アップのために高性能林業機械をどう活かすか-, 全国林業改良普及協会編, 辻井辰雄, 、井上, 源基、北村呂三、今富裕樹、広部伸二、岡勝、山田容三、陣川雅樹、古田智佳史、山口浩和、ほか著, 社団法人全国林業改良普及協会, 240ページ, 東京, 2001年, 4,800円+税
- 次世代に森林を残すには
- 長江・黄河流域における緑化(植林)を主体とする 環境保全事業の展開
- 住民との協働管理を考慮した持続可能な森林経営の資本評価 : 中国長江上流域の人工林を事例として
- 環境事業における21世紀の日中協力
- 研究者の社会的責任 : 知と価値の間で(21世紀の森林-「西暦2000年の地球」を検討する-)
- 親指で測る(シリーズ森をはかる その7)
- 速水林業の視察ならびに現地検討研究会(2000年度森林計画学会夏季セミナー「森林認証制度について現地で考えてみよう」)
- 木曽谷国有林における施業計画の変遷とその実行 : 旧上松営林署を事例として
- 2000年度森林計画学会夏季セミナー「森林認証制度について現地で考えてみよう」 : 速水林業の視察ならびに現地検討研究会
- 22、国有林の意義を考える(国有林・林野行政問題(II))