インドの物質特許導入のインド製薬産業への影響 : ビジネスモデルの変遷と負の影響の回避
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概要
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インドの製薬産業は1970年代から急速に発展を遂げ,現在では製薬生産量で世界第4位にまで成長した。ところが,この「製薬製造大国」とも言えるインドでは,2005年まで物質特許保護がなかった。本来産業育成を後押しすることを目的に導入される(物質)特許制度がない環境の下で,インドの製薬企業は,海外では特許保護の下にあるオンパテントの先発医薬品を,リバースエンジニアリングし,新たな製造方法を産み出し,インド国内で「ジェネリック医薬品」として製造し,インド内外で販売して,大きく成長を遂げた。ところが,1995年のTRIPS協定を受けてインドは,自国の特許法をTRIPS準拠の法律に改正する義務を負い,2005年に物質特許を導入した。インド大手の製薬企業は1990年代中葉から,2005年までの物質特許導入を見据えて,ビジネスモデルを大きく変えて,それまでのリバースエンジニアリング専業から,新薬開発も行う統合型ビジネスモデルに変更した。先行研究などから途上国に物質特許が導入されると,当該の国の産業育成が阻まれるとの指摘がある。しかし,インド大手の製薬企業の財務諸表などから,インドの大手企業の業績は2005年の物質特許導入を挟んで成長を続けており,インドの製薬企業では,ビジネスモデルの変更により,物質特許導入から受けることが見込まれた負のインパクトを回避して,成長を続けていることが示された。
- 2011-03-01
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