入所施設における地域生活移行の抑制要因 : 身体障害者療護施設入所者を対象として
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概要
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本研究の目的は,先行研究が指摘する身体障害者療護施設の入所者が施設生活を選択する要因に着目し,その背景を明らかにし,支援の示唆を得ることである.研究方法は同じ施設で生活しながら施設生活を選択した入所者12人(施設生活選択群)と地域生活を選択した3人(地域生活選択群)を対象とした質的調査を行った.両者を比較した結果,共に地域生活への「意欲」を抱いていた.しかし,施設生活選択群は地域生活を「あきらめ」ていた.この要因として,施設生活選択群は寝たきり状態での生活等,「施設生活よりつらい生活経験」を入所前に経験していたが,地域生活選択群は施設生活よりつらい生活を経験していないという違いなどがあった.このことから,入所する前に何らかの支援の必要性が考えられた.具体的には,地域の社会資源の整備,開発と同時に,社会資源を媒介,調整するシステムやそれを担う専門職の必要性がうかがえた.
- 2012-02-29