学校教育における医療的ケアの到達点と課題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1988年に医療的ケアを必要とする児童生徒の教育課題が顕在化した.2004年に厚生労働省設置の研究会報告書は,「医療資格の無い教師が医療的ケアを行うことは医師法第17条違反ではないか」という疑義に対して,一定の結論を出した.一方,新生児分野では,NICU(新生児集中治療管理室)の不足など救急・周産期医療の問題が顕在化した.高齢者分野では,老人保健施設等における胃瘻の対応が課題になっていた.厚生労働省は2010年に「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」を設け,2012年から介護職等(教員等も含む)による医療的ケアの実施が法制化された.本稿は,医療的ケアを必要とする児童生徒に対する特別支援学校および通常学校における支援の状況を概観した.いまだに保護者付き添いを原則としている地域も見られた.こうした対応は,義務教育無償の原則を踏まえると大きな問題であり,教育条件の改善・充実が望まれる.