krtakatvanumanaに関するアルチャタ,ダルモーッタラ,ドゥルヴェーカミシュラの解釈について : ダルマキールティにおけるviparyaye badhakapramanaの展開
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概要
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諸事物の刹那滅性を証明する推理形式の一つsattvanumana (SA)は刹那滅論証をめぐる以降の思想史に強い影響を与えた.このSAを確立するにあたりダルマキールティは,所証属性の対概念の領域に論証因が起こることを否定する正しい認識吻viparyaye badhakapramana (V-Bp)を用いて,論証因と所証との問の遍充関係を確定している.このSAの登場により,論証因を「所作性」とし,消滅することに関する無依存性(vinasam praty anapeksatva;以下「無依存性」)を用いて刹那滅性を証明する伝統的な推理形式krtakatvanumana (KA)は影を潜めたかに見えるが,8世紀以降,KAの解釈に関して思想史は新たな展開を見せる.すなわち,アルチャタはKAの推論式を先師に帰されるV-Bpと見倣し,それまでのダルマキールティ註釈者には見られない解釈を提示する.このアルチャタの解釈を継承する形でダルモーッタラとドゥルヴェーカミシュラはKAにおける遍充関係確定の方法を論じる.彼らの解釈に従えば,ダルマキールティは,KAにおいて,所証「刹那滅性」の対概念の領域,すなわち,非刹那滅なものの領域に,「無依存性」の対概念,すなわち,「依存性」が起こることを指摘することで,「所作性」と「刹那滅性」との間の遍充関係を確定している.ダルマキールティはVadanyayaにおいて,所証属性の対概念の領域に論証因の対概念(hetuviparyaya)が存在することを論証する正しい認識がV-Bpであると述べている.つまり,ダルマキールティは既にKAを論じる段階で,実質的にはV-Bpの方法を用いて遍充関係の確定を企てていたと言える.
- 2012-03-25
著者
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