福島原発事故における被害補償と社会受容
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概要
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本稿は、福島第一原発等の事故に係わる被害補償を社会的不利益の分配問題として捉え、政策学的観点から考察したものである。まず、環境被害の特徴と被害補償の政策原則を概観した上で、被害補償の分配的公正の困難さ及び手続き的公正や信頼性行動の重要性等を指摘している。次に、無過失・無限責任を特徴とする原子力被害補償制度、及び新たに立法化された原子力事業者支援制度の制度構造と特徴を検討し、それを踏まえて原子力事業者の免責問題、被害者の保護と原子力事業の関係、東電支援に係る政策手法等の主な論点について考察している。最後に、被害者と原因者間の深刻なギャップを描出した上で、長期紛争化を防ぐための原因者等の行動変容の必要性を指摘している。
- 2012-03-01