広葉樹二次林におけるコバノミツバツツジの着花と樹冠のシュート動態
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概要
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コバノミツバツツジは美しい花を咲かせるため造園樹木としてよく用いられているが,西日本の管理放棄された二次林でも多く生育している。本研究では管理されていない二次林でのコバノミツバツツジの着花とその動態を調べた。個体の着花率は地際直径によって異なり,サイズの大きな個体ほど花がつきやすかった。シュートごとの花芽形成をみると,シュート直径が大きいほど葉芽をつけやすく,小さいほど花芽をつけやすかった。前年枝が花シュートであった枝では当年枝の花芽形成率は低かった。花シュートと葉シュートは乾燥重量に差がないが,シュート長,分枝率,断面積成長量といった側枝の形態に違いがあった。このため,花シュートと葉シュートで翌年枝の花芽形成率は異なり,これらの花芽形成率を樹冠に拡張すると個体の着花数になる。このように個体の着花には地際直径などの個体サイズが,シュートの花芽形成には前年枝の花芽形成率が影響している。サイズが大きくなると着花し生殖成長期に入り,個々のシュートの花芽形成率が高くなることにより樹冠全体で着花がみられるようになることがわかった。