両大戦間期日本における会計プロフェッション監査と債権者による規律
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概要
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本稿は,両大戦間期日本における会計プロフェッション監査の利用実態と目的を,債権者による規律との関係から明らかにするものである。先行研究は,法制度との関係から会計プロフェッション監査を考察し,利用実態及び目的については言及していなかった。本稿での分析の結果,会計監査は法制度の整備(1927年計理士法)以前から利用され,事前及び事後の企業に対する継続的モニタリング活動を国内金融機関・海外社債引受会社から委託され,会計処理に関する情報を報告していた点が明らかになった。監査対象となった企業は,電力・電鉄会社に代表される,企業成長・存続のため負債による資金調達を必要とした企業であり,同時にこのような企業に限定された。国内金融機関・海外社債引受会社は,会計プロフェッションからの情報に基づき,必要に応じて経営危機に陥った会社に経営介入し,配当率の引下げや会計処理の変更を行わせた(債権者による規律)。一方会社や株主は,配当率や利益率を引き下げる会計処理を行うインセンティブを持っていなかったため,会計プロフェッション監査を利用することはなかったのである。
- 2011-08-25
著者
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