フランドルにおける援助金の交渉と徴収(<第79回全国大会小特集>パネル ブルゴーニュ国家における財政システムの形成)
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概要
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ブルゴーニュ公の財政にとって,経済先進地帯であるフランドルからの援助金(臨時課税)は大きな意義を持っていたが,この援助金を課す際には諸都市・シャテルニー(農村地区)の代表であるフランドル四者会議の同意が欠かせなかった。ブルゴーニュ家の統治の当初,君主権力と四者会議の関係は円滑ではなかったが,15世紀初頭ジャン・サン・プールの治世において,援助金をめぐる君主と四者会議の共存関係が確立された。四者会議が君主への様々な要望と援助金供与とを天秤にかけて君主側と交渉するとともに,フランドルのその他の都市・シャテルニーに対して課税者の立場に身を置くようになったのである。しかし臨時課税の増加は各自治体の財政に大きな負担をかける。豊富な財源を持つブルッヘなどの大都市と違い,シャテルニーは君主への支払のために各世帯からの徴収を強化せざるをえなかった。そのためシャテルニー住民は都市の市民資格を獲得して市外市民となり,シャテルニーの課税を免れようとした。この問題はシャテルニーと都市の間に対立を引き起こし,フランドルの地域社会の在り方を変えていくことになる。
- 2011-08-25