会話を続けていくことの意義とその効果 : 妄想に変化が生じた統合失調症患者の事例から
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概要
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本研究の目的は,精神科訪問看護場面における妄想を有する統合失調症患者一事例との会話から,会話を続けていくことの意義とその効果について検討することである。会話を続けていくなかで,次第に事例の参与が得られるようになり,会話の形式が一方向的なものから双方向的なものへと変化した。それに伴って,事例の妄想は誇大的・攻撃的なものから日常的で本人にとってより楽なものになった。このような変化の要因は,発話の意味内容を問うことよりもまずは会話を続けていくことを第一目的とした関わりによって,言語の「対話性」を回復できたからではないかと考えられた。
- 2007-12-31