サービス消費機会の地域的格差(<特集>大都市圏におけるサービス・文化産業の新展開と都市ガバナンス)
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概要
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1995年以降における東京圏への人口流入の「波」を象徴とする「都心回帰」局面における人口移動を特徴づけているのは,全国スケールでみた上位都市への人口集中,とりわけ東京圏への集中,さらには東京圏でも東京都への,都内でも都心部への人口集中が顕著な点である.このような現象の背景にあるのが,サービスを利用・消費する機会(サービス消費機会)の地域的格差である.サービス供給の拠点は,それぞれの「地域」の中心地に集中・集積し,高次なサービスほど大都市の都心部に集中する傾向が強い.加えて,サービスは「貯蔵も輸送もできない」という特性を持つため,需要者が総負担コストを抑え,結果として良質・高質なサービスを受けるためには,都心,それも大都市の都心との近接が優位となる,こうしたサービス消費機会との近接性を求める動きが,大都市,とりわけその都心へと人口を引き寄せ・留めさせている.しかも,大都市・都心での人口拡大=市場規模の拡大は,あらたなサービスの成立を促すことで,サービスの多様化・高度化を一段と加速化する.こうした大都市・都心への人口流入とサービス消費機会の集積(それにともなう多様化・高度化)との間に認められる累積的・循環的因果関係が,サービス消費機会の地域的格差を一層拡大させている.
- 2011-12-30
著者
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