冠動脈疾患患者における血漿エイコサペンタエン酸/アラキドン酸比の男女差の検討
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概要
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近年冠動脈疾患の新しいリスクマーカーとして血漿エイコサペンタエン酸/アラキドン酸比(EPA/AA)が注目されている.また冠動脈疾患の発症頻度には男女差が存在していることは知られている.今回我々は,栃木県周辺に在住で平成22 年2 月から6 月までに当科に冠動脈造影検査目的に入院した患者のEPA/AAを測定し,男女差について比較検討した.両群間の比較では女性が男性に比べ有意に低値であり,10 歳ごとの年代にわけて男女間を比較すると,若年では女性で高い傾向にあり,30 歳代では差がなく,50 歳代 (P=0.001),60 歳代 (P=0.034)では女性が有意に低値であった.ヘモグロビンA1c 値や脂質プロファイルは各年代とも男女差はなかった.栃木県周辺住民のEPA/AA は男性に比べ女性で有意に低値であり,特に更年期女性で低値であった.エイコサペンタエン酸(EPA)は必須脂肪酸であり,食餌摂取でしか血漿中の濃度を上昇させることが叶わず,栃木県周辺住民のEPA 摂取不足が明らかとなった.また栃木県は心筋梗塞死亡率が高値であるため,今後特に女性において積極的なエイコサペンタエン酸による介入が心血管イベント抑制に有効であると思われる.
- 2012-03-25
著者
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