小学校3年生に対するソーシャルスキルトレーニング(SST) は中学校生活に影響を与えるか?
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概要
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小学校中学年以降は「ギャング・エイジ」と呼ばれ, 人間関係の基礎となる社会規範や社会的スキルを体得する時期であるが, 近年は, 社会情勢のためか, 集団遊びができなくなり, 児童の社会的規範や基本的なスキルを獲得する場が少なくなっているという報告が聞かれるようになった. 我々は, この時期にソーシャルスキルを獲得することがその後の人生において重要だと考え, この時期にさしかかる小学校3年生の児童に対するSST を実施し, 中学校での影響を検証した. 2003年の一学期に, A県O市内の2小学校3年生3クラス(合計112名) に対し, 全6回のSST を実施した. そして3年後に, この112名を含むS中学校1年生292名にアンケート調査を行い, SST 実施者と未実施者のソーシャルスキルを比較した. その結果, 実施群は「学校生活意欲意欲尺度」の下位尺度である「学習意欲」において有意に好成績であった(p<0.05). 有意差は認められなかったが, 思いやり行動の下位尺度である「かかわり」(p=0.057), 「基本的ソーシャルスキル」(p=0.069) において, 実施群に良好な傾向が認められた. かかわりやソーシャルスキルが良好なことが円滑な人間関係を生み出し, 学習意欲につながっている可能性がある. 今後さらなる追跡調査によって, 思春期危機を迎える中学校1年生後半以降においてSST の効果を判断する必要がある.
- 2012-03-31
著者
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上村 佐知子
協和病院
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曽山 和彦
名城大学教職センター
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浅沼 知一
医療法人慧眞会ケイメンタルクリニック
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上村 佐知子
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻
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佐藤 さゆ里
横手市不登校適応指導「南かがやき教室」
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