『老人と海』の環境思想
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概要
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本稿では、Ernest Hemingway(アーネスト・ヘミングウェイ)の中編小説 The Old Man and the Sea (『老人と海』1952年出版)をエコクリティシズム理論を援用して分析した。エコクリティシズム批評の重要な概念「センス・オプ・プレイス」や環境破壊の視座などが本作品に描かれていることを証明し、人間と自然(動物)の一体化・融合あるいは両者の関係の二項対立的な固定観念を解消することを信条とする老人サンティアゴの漁師としてのカリブ海特有の海洋生物・天候の知識が、彼の環境意識・哲学のパックボーンとなっていると考察した。海洋自然の「厳しさ」は、サンティアゴによって「自然の美しさ」及び「自然の摂理」として認識される。それは、小説の重要なメッセージとして提示され、環境文学の特徴である環境への意識を読者に喚起させることを促し、環境や自然に対する従来の価値観の転換を読者に希求する意図がある「環境文学テキスト」であると指摘した。
- 2012-03-10