IV.教育学からのアプローチ : 新たな宇宙時代到来に向けた道徳教育における課題(宇宙時代の人間・社会・文化 : 新たな宇宙時代に向けた人文科学および社会科学からのアプローチ)
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概要
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学校教育では特に「道徳教育」を中心に人間としての心構えや守るべき規律などの価値観が醸成される.こうした価値観醸成にあたり,例えば地球以外の場所に生命が発見されるなど,我々人間の意識変化が生ずる可能性が高い新たな宇宙時代において,現行の道徳教育で 提唱している価値観がどこまで通用し得るであろうか.本論文では,こうした問題に対し,現行の『学習指導要領』をベースに新たな宇宙時代に向けた道徳教育における課題を検討することとした.検討の結果,新たな宇宙時代に向けて求められる価値観形成として,現行の『学習指導要領』がめざす道徳教育に次の2点が付加される必要があることが明らかになった.まず1点目は,文化や人種などが「多様である」ことを認めたうえで,そうした多様さ故に生ずる矛盾や衝突を取り除く「帰一的な(色々な考えがあるもののめざすべき結論は同じ,帰一するという)考え方」を醸成する教育が必要であるという点である.次に,こうした価値観醸成には,多様性への「適応能力」や,多国の文化や価値観を他人事ではなく自分事として「建設的かつ批判的に検討する力」など,具体的な能力やスキルを身に付けさせる工夫が必要となるという点である.こうした課題を踏まえ,教育のあり方として,単に宇宙に関する興味関心の喚起や知識提供で留めるのではなく,上記のような価値観形成につながる宇宙教育をめざす必要がある.今後,具体的にどのように展開すべきかを検討・実践し,検証結果を学校教育へ還元する必要があると考えている.
著者
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