診断群分類包括評価DPCのデータと地理情報システムGISを用いて二次保健医療圏における医療機関の実医療圏を調べる試み
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概要
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医療機関が健全な経営持続性をもって地域住民に対して安心・安全な医療を提供し続けるためは,地域の特性を踏まえ「施設完結型医療」から「地域完結型医療」への転換をすすめ,限りある医療資源の適正な配置,有効な活用を行わなければならない.しかしながら,ここで言う「地域」の概念には曖昧さがあり,施設の医療提供体制や患者の受療行動などを踏まえた「実医療圏」の検討が必要である.また将来の地域医療のあり方を論ずるに当たっては,様々な利害関係者に情報を可視化して提供するコミュニケーションツールの有効活用が求められる.そこで今回我々は,各施設の提供できる資源を定量化する際に,他の医療機関と比較可能な標準化されたデータであると同時に患者の受療行動を推し量るデータであるDPCデータを用い,患者住所(郵便番号)を付加した上で,地理情報システム処理して地図上に疾病別患者分布を可視化することの有用性について検討を行った.DPCデータの提供を受けた藤枝市立総合病院と同院の属する志太榛原二次保健医療圏においては,年齢や診断群によって入院患者分布に偏りがみられ,医療機関の強み・弱みが明確化されるとともに,患者は必ずしも移動距離によって受療行動を決定しているわけではないことが示唆された.地域医療連携を進める上で関係者が議論するテーブルには,医療関係者だけでなく行政の担当者や患者(住民)代表なども含まれ,必ずしも全員が地域医療の実態を認識していない場合もある.今回の試みは,医療圏内の診療所を地図上にプロットし病診連携の実際を示したり,診断群による受療行動の違いを地図上に明示したりすることにより,関係者間の協議におけるコミュニケーションツールとしても有用であると考えられる.
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