「リーダーの視線」に関する意識調査 : 本科5年生と現役リーダーの比較
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概要
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高専教育において、「リーダーの視点」を育成するための効果的な取り組み方法を検討するために、「リーダーの視点」に関する意識調査を実施した。沖縄工業高等専門学校、生物資源工学科、本科5年生(沖縄高専生区:38名)、企業で活躍する課長職以上のビジネスリーダー(ビジネスリーダー区:20名)および大学や公的研究機関で活躍する准教授職以上の研究リーダー(研究リーダー区:12名)を対象として調査を実施した。「リーダーの視線」には、サッカー日本代表チームの主将である長谷部誠の著書「心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣」で紹介されている「56の習慣」を選択肢として採用し、調査対象者にはこの中から「リーダーの視線」として重要だと考える「習慣」を、それぞれ3つ選択させた。その結果、ビジネスリーダー区と研究リーダー区はともに、「真のプロフェッショナルに触れる」、「苦しいことは真っ向から立ち向かう」、「勝負所を見極める」、「感謝は自分の成長につながる」を高い選択率(42%〜15%)で支持した。一方、ビジネスリーダー区は「変化に対応する」を20%の選択率で支持したが、研究リーダー区の選択率は0%であった。また、研究リーダー区は「群れない」を33%の選択率で支持したが、ビジネスリーダー区の選択率は10%と低かった。他方、沖縄高専生区は「マイナス発言は自分を後退させる」、「先輩に学ぶ」を高い選択率(26%、18%)で支持した。リーダーが19〜16%の選択率で重要と考えた3つの習慣、「苦しいことには真っ向から立ち向かう」、「常にフラットな視線を持つ」、「勝負所を見極める」については、沖縄高専生区は選択しなかった。以上の結果から「リーダーの視線」について、組織やチームのリーダーであっても役割や環境が異なるとリーダーとしての視線も異なること、沖縄高専生区とリーダー区の意識には経験に基づいた差異が観察されること、リーダー区が支持し沖縄高専生区が選択しない習慣は、高専生に「リーダーの視線」を気づかせるためのツールとして活用できる可能性が示唆された。