自主夜間中学の活動と展開
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概要
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本稿は、自主夜間中学に関する全国調査の結果をまとめたものである。今日の日本社会において、義務教育末就学者は約16万人、末修了者を含めると約170万人もの人々が学習権を奪われたままでいるという。「公立中学校夜間学級(以下、「公立夜間中学」)」は、関東・関西の都市部を中心に全国に35校しかなく、北海道、東北、四国、九州・沖縄にはゼロである。また、「形式卒業者」と呼ばれる人々の公立夜間中学への再入学は難しい。一方で、「自主夜間中学」と呼ばれるボランタリーな組織活動が「公立夜間中学」の未設置地域で活発な活動を展開している。義務教育未修了者の学習権保障問題解決のためには、 「公立夜間中学」の増設を求めつつも、同時並行して、自主夜間中学の活動実態を把握し、その可能性と限界性を見極め、ボランタリー・セクターが引き受けえる範囲を線引きしていく作業が不可欠であろう。しかし、「自主夜間中学」に関する調査研究は、いまだ萌芽的段階にあり、基礎的データの蓄積が待たれていた。そこで、筆者は『2005年度全国夜間中学校全国大会大会資料集』に記載された団体を対象に質問紙調査を実施した。学習者、学習内容、運営体制、スタッフの4項目からなる調査票を郵送・配布し、回収率は85%、16団体から回答が得られた。
- 国際ボランティア学会の論文
- 2008-02-29