市民活動団体がミッションを維持するために : 資源獲得の戦略(<特集>震災ボランティアの10年)
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概要
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地域社会から孤立しがちな人々の自立支援を行う市民活動団体が、「自立と共生」というミッションを遂行するために、行政との新たな関係を切り開いている過程を、「資源獲得の戦略(strategy for seeds)」という視点から分析した。阪神・淡路大震災後、財政的困難に直面した市民活動団体が選択したのは、NPO法人となることで、行政が行ってきた公共サービスの担い手となり、関係的資源の基盤を整備するという方法であった。つまり市民活動団体が、地域社会においてミッションに基づく活動を展開しようとすると、行政に対する抵抗型の運動やオルタナティブ提示型活動とは異なる行政との協働関係を模索する必要がでてきたのである。そこで「コミュニティ・サポートセンター神戸(CS神戸)」の事例から、「神戸型コーポラティズム」という地域的特性の中で、行政から委託事業を引き受け、ミッションを実現する戦略、その戦略が切りひらく可能性と問題点について考察した。その過程において、市民活動団体が外郭団体や地縁団体との熾烈な競争に直面したり、行政の下請け圧力に巻き込まれていること、しかしそうした戦略が公共サービスを向上させる一定のインパクトを与えていることを明らかにした。
- 2005-02-28