OS4 多目的石炭ガス製造技術(EAGLE)開発について(ガスタービンを取り巻くエネルギー・地球環境問題と諸課題克服への取り組み,オーガナイズドセッション)
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概要
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石炭は世界的に埋蔵量が豊富で、かつ広く賦存していることから、安定した供給が見込め、わが国のエネルギーセキュリティー上欠くことのできない重要な資源である。しかしながら、石炭は単位発熱量当りの二酸化炭素排出量が他の化石燃料に比べて多く、燃焼時には煤塵、NOx、SOxを排出することから、近年の地球環境問題の高まりと共に、その利用拡大においては高効率な利用技術の開発が求められている。燃焼時における煤塵、NOx、SOxの低減についてはこれまでの技術開発により世界最高の技術水準を擁しており、残る課題は二酸化炭素低減に向けた取組みである。電源開発株式会社(J-POWER)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究事業として、「多目的石炭ガス製造技術(EAGLE)」の開発に取り組んでいる。本技術開発は、環境負荷低減、特に地球温暖化ガス発生量の低減を図ることを目的に、高効率で合成ガス(CO+H_2)を製造することが出来る最も先進的な酸素吹1室2段旋回流ガス化炉を開発するものであり、併せて、得られた石炭ガス化ガスを高度に精製(除塵・脱H_2S ・脱ハロゲン等)する技術を開発し、化学原料用、水素製造用、合成液体燃料用、電力用等幅広い用途への適応が可能な石炭ガス化技術およびガス精製技術の確立を目指すものである。本ガス化炉を適用し、ガスタービン、蒸気タービン及び燃料電池との組み合わせにより、既設石炭火力発電と比較し最大30%のC0_2発生量低減が期待される高効率発電も可能となる技術である。更に、EAGLE STEP-2においては石炭ガスにシフト反応を施し、C0_2を分離回収する試験を計画している。本稿ではプロジェクトの概要および開発状況について記述する。これにより、国内のエネルギー安定供給や環境影響負荷低減に貢献できるなど、クリーン・コール・テクノロジーとしての石炭ガス化技術の展開の可能性を拡大するものである。
- 2008-10-01