破壊が決める原始惑星の最終質量(2010年度最優秀研究者賞受賞記念論文)
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概要
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太陽系の惑星,また近年多数発見されている系外惑星は,どのようにして形成されたのであろうか.これらの惑星達は,微惑星と呼ばれる惑星のもととなる小天体が衝突・合体により原始惑星を形成し,原始惑星同士の衝突をへて地球型惑星が形成される.一方,非常に大きくなった原始惑星が固体核となり膨大な量の大気を集積し,木星型惑星が完成する.大きな原始惑星ができる過程では,天体の衝突は合体・成長をもたらすだけでなく,破壊もおこす.破壊により生成される小さな破片はガス抵抗により原始惑星との相対速度が小さくなるため,原始惑星と衝突しやすくなり,成長を促す.その一方でガス抵抗によりこの破片は角運動量が奪われ,中心星に落下し消失してしまう.この諸刃の剣を両方矛盾無く取り入れると,原始惑星が成長できる大きさには上限が存在し,衝突・破壊が原始惑星の最終質量をきめる.太陽系のような木星や土星をつくる固体核を生成するには,成長時間が十分短く,壊れにくい微惑星が必要となる.現在の太陽系の固体成分よりも10倍重い原始惑星円盤の中で比較的大きい100km大の微惑星ならば,木星や土星は形成可能である.
- 2011-12-25