発達論の難題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
発達には,それぞれの局面で経験そのものの再編が含まれる。そうした経験そのものの再編を含むような変化を考察するさいには,経験の組織化がどのような仕組みで起きているのか,またそのことは能力の開発形成の誘導を行う発達障害児の治療で,どのような介入の仕方を可能にするのかという問にかかわることになる。発達にかかわる議論では,いくつか難題が生じる。発達段階論は,図式的な発達論の派生的な問題である。そうした難題に関連して,1.で三点に絞って考察している。第一に「発達するシステムそれ自体」に,観察をどのように届かせるのかにかかわり,第二に発達というとき,「何の発達か」という問にかかわり,第三に発達の段階そのものは,どのような仕組みで成立するかにかかわっている。それらの検討を受けて,2.では,脳神経系の事実から,発達論の基礎となる構造論的な論理を設定している。また発達という生成プロセスをどのように捉えるかを考察した。これは発達障害の治療では,決定的な治療介入の変更を示唆する。
- 2011-12-20