ピグーの所得税政策に関する一考察 : 論文「王立所得税委員会報告書」における議論を中心として
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概要
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厚生経済学の創始者であるピグーは, 実践的な経済学の構築を目指した経済学者として知られている。しかし実際のところ, 彼の経済政策に関する具体像は, 必ずしも十分に明らかになっていない。本稿の課題は, ピグー経済学から導出される具体的な政策論を彼の租税論, その中でも特に所得税論を基にして析出することである。 ピグーは1919年から1920年にかけて王立所得税委員会に加わり, 内容に富む包括的な報告書の執筆の一翼を担った。ここから, 彼が英国の所得税改正に何らかの影響を及ぼしたと推定される。こうした点に基づいて, 本稿はピグーの租税論の中でも特に所得税論を考察対象とした。 ピグーは, 王立委員会の委員としての視点から委員会勧告の内容を論じた, 「王立所得税委員会報告書」という論文において, 当時の税制上の問題点を浮き彫りにすること, そしてその問題点の克服を踏まえた上で具体的に政策を提示することに主眼を置いた。他方で彼の議論には, 「厚生経済学」や租税原理の中核となる「公平」原理などから導出される, 一般的な租税論が所得税政策の下地になっている, という特徴がある。つまり租税理論と政策との架橋が試みられたのである。
- 2012-03-08
著者
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