下垂体転移による中枢性尿崩症を合併した肺扁平上皮癌の1例
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概要
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背景.肺癌の剖検例での下垂体転移の頻度は8%とする報告があり,下垂体転移は必ずしも稀ではないが,下垂体転移の多くは無症候性であり尿崩症を発症する症例は稀である.症例.59歳,男性.2010年4月食欲低下,口渇,腰痛を主訴に救急外来を受診した.脱水,肝酵素の上昇,高Ca血症などの所見を認め入院となった.入院後の胸部CTで左下葉に腫瘤および無気肺を認めたため気管支内視鏡を施行し,肺扁平上皮癌と診断した.全身精査の結果,肝転移,下垂体転移,骨転移が明らかとなり,cT2aN2M1b(IV期)と診断した.入院後高Ca血症は改善したが多尿は持続し,尿浸透圧は低値,血漿浸透圧は高値,血漿抗利尿ホルモン濃度(ADH)は正常下限であること,下垂体転移などの所見から中枢性尿崩症と診断した.酢酸デスモプレシン点鼻薬の投与を行い,下垂体転移巣に対しγナイフ療法を施行したが多尿はコントロールできなかった.肺癌は急速に進行し,診断後約1カ月半で死亡退院となった.結論.下垂体転移による中枢性尿崩症を合併した肺扁平上皮癌の症例を経験した.転移巣に対しγナイフ療法を施行したが,尿崩症は改善せず,肺癌は急速に進行し,予後不良な経過であった.
- 2011-11-25
著者
-
戸島 洋一
独立行政法人労働者健康福祉機構東京労災病院icd
-
酒井 俊彦
労働者健康福祉機構東京労災病院 呼吸器内科
-
宮崎 健二
独立行政法人労働者健康福祉機構東京労災病院呼吸器内科
-
柴田 雅彦
独立行政法人労働者健康福祉機構東京労災病院呼吸器内科
-
酒井 俊彦
独立行政法人労働者健康福祉機構東京労災病院呼吸器内科
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戸島 洋一
労働者健康福祉機構東京労災病院呼吸器内科
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宮崎 健二
労働者健康福祉機構東京労災病院呼吸器内科
-
柴田 雅彦
労働者健康福祉機構東京労災病院呼吸器内科
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酒井 俊彦
労働者健康福祉機構東京労災病院呼吸器内科
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