ホームヘルプ事業の黎明としての原崎秀司の欧米社会福祉視察研修(1953〜1954) : 問題関心の所在と視察行程の検証を中心に
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概要
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本稿は,戦後日本へのホームヘルプ事業の導入経緯を探究する研究の一環として,原崎秀司が視察研修中に記した1953(昭和28)年9月19日〜1954(昭和29)年5月1日までの日誌および帰国前後に記された論稿・回顧録の記述から,原崎の問題関心の所在と視察行程を検証するものである.長野県社会部厚生課長職にあった原崎は,地域のなかでの在宅福祉という考え方が普及していなかった1950年代前半当時,国際連合社会福祉奨学生として欧米社会福祉視察研修に専念した.スイスやイギリスでの視察研修を通じて,現地人の苦悩しつつ創造する真の実学精神に感銘を受け,日本の実状を憂慮した.1956(昭和31)年から始動した家庭養護婦派遣事業はまさに日本人の意識改革を中心に新たな生活改善策を思案した末のことであった.日誌の記述をていねいに紐解くと,「創造的進化の社会」の実現を志向する原崎の実験的試みであった同事業の背景には,視察研修時にふれた諸外国の進んだ福祉実践のみならず,人々の日常生活上の創意工夫や合理性がみられた.
- 2011-11-30
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