植物検疫における病害虫防除技術
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概要
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国内農業強化を目指しているが,低い食糧自給率から輸入農産物に依存する日本にとって,病害虫の侵入を防ぐ植物検疫制度は重要である.検疫処理では,青酸ガス,臭化メチル(MB)及びリン化アルミニウムによるくん蒸処理が主に実施される.青酸ガスでは,種苗類と青果物に対し,液体青酸1.8g/m^3,30分処理,MBでは,穀類等・青果物及び木材に対し,品目,温度などに応じた単位薬量(一部を除き,15-8.5g/m^3)と時間(2-72時間)が規定され,また,リン化アルミニウムでは,穀類,種子等に対し,リン化水素0.5-2.0g/m^3, 3-9日間の処理が同様に規定されている.モントリオール議定書の枠組下で検疫用途のMBは規制対象外であるが,代替技術に転換することが求められている.これまで日本が開発,又は開発中のMB代替薬剤は,(1)二酸化炭素,(2)ヨウ化メチル,(3)フッ化スルフリル/MITC混合ガス,(4)庫外投薬機によるリン化水素,(5)酸化プロピレンなどがある.木材輸入数量の急激な減少や,非検疫病害虫の増加の影響などにより,最近では検疫処理が減少しているが,検疫処理の必要性は消滅することはなく,防除対策の多角化が求められてきている.オーストラリアで実施された防除プログラムでは,リスクの評価を実施した上でリスク管理措置が実施されており,今後,このような防除がさらに重要になってくると考えられる.
- 2011-12-20