国際結婚家庭の日本語継承を支える語り : スイスの日本語学校における長期学習者と母親への聞き取り調査から
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概要
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永住を前提に海外で生活する国際結婚家庭では、日本人の親が日本語の継承を望んでも、子どもはその必要性や有用性を実感しにくく、日本語の教育や学習の継続は容易ではない。そこで、本稿では、スイスの日本語学校に長期間通い、高い日本語力を習得した女性とその母親にインタビューを行い、その母娘の日本語に対する意味付けや、日本語教育・学習の体験を明らかにした。また、その母娘が、「苦難」を「解決」したり日本語を意味づけたりする際に、日本語学校の教師や卒業生などの語りを引用していることを示した。さらに、この母娘の体験が、日本語学校でさまざまに語り継がれていることを明らかにした。日本語学校では、日本語には価値があり、継続すれば将来よかったと思い、中断すれば後悔するという語りが繰り返されている。こうしたモデル・ストーリーは、国際結婚家庭が自分達の経験を意味づける上で重要な参照点となり、日本語継承の支えになっている。
- 2010-03-31
著者
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