ベトナム難民2世の語りにみるバイリンガル育成の可能性 : ライフストーリー・インタビュー手法を用いて
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概要
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ベトナム難民受け入れから30年以上経過した今、親と異なる生き方を模索している難民2世も現れている。本研究ではそうした2世が、成人を迎え大学に進学した現在までベトナム及びベトナム語にどう向き合ってきたかに着目した。調査方法には聞き手との相互行為を重視するライフストーリー・インタビューを用い、2世の語りから日本社会におけるマイノリティ言語話者のバイリンガル育成の可能性を探ることを目的とした。その結果、語りから日越両国を行き来するバイリンガルとしての意識が垣間見えたと同時に、親とのやりとりでストラテジーを駆使しコミュニケーション力を高めている様子がうかがえた。そしてバイリンガル育成には、ルーツや言語文化を肯定的に捉える自尊感情と、それを育ませる契機となる周囲の理解や社会的支援の必要性が改めて示された。
- 2011-03-31