同床異夢の「満州文学」(1) -「満系文学」側の主張から-
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概要
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「満州国」の文学は、満州在住の朝鮮人や白系ロシア人の文学もその中に含まれるが、主として「満系文学」と呼ばれる中国人の文学と「日系文学」と呼ばれる日本人の文学から構成される。異なる民族によるこの二つの文学は、「五族協和」を建国の理念とする「満州国」において、どのように絡み合いつつ「満州文学」としての道を歩んできたか、これは非常に興味深い問題である。これまでの満州文学研究において、「満系文学」と「日系文学」を別々に考察するものが多く、両者の交渉に視点を据える考察は、管見に入る限りではまだ少ないようである。従って、本稿では、特に文学観や方法論の問題をめぐって「満系文学」と「日系文学」の交渉を探り、両者の力学的関係の解明によって「満系文学」の再評価を図るとともに「満州文学」の実態へのアプローチを試みたい。考察は「日系作家」との応酬を含め、中国人作家の「満州文学」に関する発言を中心に進めていく。
- 2008-03-01
著者
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