医療観察法に関する一考察-沖縄県の事例にも触れて-
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概要
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本稿は、医療観察法の抱える問題に対する日弁連など各方面からの指摘や批判を整理し、その解消に寄与することを目的としたものである。本稿では、同法の各手続きの問題点や筆者らが居住する沖縄県における同法運用上の特徴も取り上げている。 また、刑事責任能力との関連についても若干の考察を行った。同法の規定が直接的に刑事責任能力の定義に影響を与えないとはいえ、その制度の運用が実態の面でどのように作用するかは1つの重要な論点である。 日弁連等の指摘や批判の中には、同法の存続にとってまさに核心を突く重要な課題を提起するものがある。しかし、筆者らは同法を好意的に受け止めており、同法の提供する医療が触法精神障害者の社会復帰にとって重要な役割を果たすことを期待するものである。とりわけ、沖縄における同法の運用状況と他府県とを比較すると、その地理的な特殊性から若干異なる様相を呈している事がわかる。そして、沖縄県の運用状況を「特殊」とはせず、むしろ「軌範」とすることが同法の抱える問題の解決にとって望ましいのではないのかと、期待を寄せつつ本稿を執筆した。
- 2011-03-24
著者
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