対立の環境を考慮した機能負担量の推定
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概要
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レキシコン内の系列的な情報と大域的な情報を用い,最小対における対立点の左側環境による検索範囲の縮小を考慮に入れて,日本語の音素ごとの機能負担量を推定するための新たな指標を提案した。さらに音声親密度の段階ごとに単語データベースを区分けし,異なるサイズのレキシコンにおいて音素ごとの機能負担量と出現頻度がどのように分布するかを概観した。その結果,自然類をなすような音素群の中でも分布は極めて不均衡なことがわかった。また,もっとも親密度が高くサイズが小さいレキシコンの場合以外には分布の傾向に大きな変化は見られなかった。構造主義的音韻論において音素は統一性とバランスを保った体系を成すと考えられているが,レキシコンにある単語の偏りのため,音素体系はきわめて不平等にしか利用されていないことがわかった。
- 日本音声学会の論文
- 2008-04-30