ニュース放送における韻律の変異
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概要
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この小論の目的は,同じアナウンサーが同じニュースを違った時間に読んだ場合,韻律的な特徴に変化があるのかどうか,もしあるとすればどのような変化があるのかを検討することである。この調査の結果,半分を越える非文末の音調群において,なんらかの違いが観察された。音調群への分割の仕方,したがって音調群数,核の位置にある程度の相違が生じ,また同一の音調群においても休止の種類,核の位置に違いが認められることがあった。核音調についても,文末に関してはすべて下降調になる可能性は極めて高いので,相違は存在しないが,非文末については異なったアナウンサーの間に起こったと同様,下降調,上昇調,下降上昇調がかなり自由に交換可能であることが分かった。したがってBrazilなどの提唱する,いわゆる宣言音調と言及音調の区別を否定する結果となった。
- 日本音声学会の論文
- 1998-04-30