終末期透析医療と事前指示
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
透析医療に携わる現場では、長期間の維持透析生活の後に終末期を迎える患者の看取りについて検討を要するケースが増加している。本稿では維持透析患者に焦点をあて、「透析と終末期医療のあり方」を検討した。日本の医療現場では一般に事前指示書が尊重されているとは言い難い。ことに透析医療においては、透析導入から終末期を迎えるまでの長期の間に、患者個人の病状や心理も変化してゆくので、患者の意思を把握する機会をたびたび設けることが必要であると考える。医療者には患者・家族と共に個人に即した終末期医療を作り上げるという姿勢で臨むこと、患者の意思決定を支援することが求められている。実際の事前指示の運用場面では、医療者と患者の橋渡し役として、透析導入期・維持期・終末期と長期にわたる関わりの中で患者との人間関係を構築している透析看護師が担う役割が大きくなるだろうと推測される。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2010-09-23